Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
と喘いだ。
その熱い喘ぎが、彼の耳を包んだ、新八は自分が勝者であることを感じ、そして、それがたしかであるかどうかを、思い直してみる気持もなく、おみやにひかれるままに、隣りの暗くしてある小部屋へ、伴れられていった。
そして約一刻のち、――新八とおみやはその茶屋を出た。新八は羽折をぬいで、袖だたみにしたのを、左の腕にかけ、もの憂いような、ぼんやりした顔をしていた。おみやは歩きながら、ときどき眼の隅で彼を見、そしてひそかに、微笑していた。
「渡し舟で真崎へいきましょうね」とおみやは云った、「初めて来たときのことを思いだすわね」新八は黙っていた。おみやの顔は、濃い化粧をしているにもかかわらず、活き活きと艶だっているし、その眼はきらきらとして、獲物を飽食したあとの若い雌豹のような、力の充実と満足感があらわれていた。
「あのころは新さんもうぶだったわ」
新八は「ふん」といった。
「それがすっかり変ったわ」とおみやはつづけた、「今日はあんなにいじめられて、別れるって云われたときなんかあたし息が止まるかと思ったわ、ひどいひと」
二人は堤へ出た。
「でも嬉しいわ」おみやはすばやく、その手で新八の腕に触った、「いじめられたときは悲しかったけれど、でもあんたがそんなふうに、ずけずけ云えるほどおとなになったのだと思うと、あたし嬉しくっ