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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

「さればこそ、些細な事までいちいち訴え出て、御裁量を願うのだと存じます」

「おれを恐れるあまりにか」

「いついかなる事で、重きお咎めを蒙るやもしれぬとあれば、一藩の責任を負う者が恐れ惑うのも当然でございましょう、それは厩橋さま御自身がよくおみとおしのことと存じます」

「そのほうはまるで」と雅楽頭は笑った、「まるでこの雅楽頭が、伊達六十余万石を手に握っているように申すぞ」

「それは侯御自身が御存じの筈です」

「原田甲斐はどうだ」と雅楽頭が云った。

甲斐は微笑して、申上げるまでもない、と答えた。

「四十五歳まで、辛うじて評定役を勤めたほど、鈍才無能の私です。国老におとり立て願っても、ただ先任同役のしりに隠れ、肩身をちぢめているばかり、まことになんのお役にも立たぬ人間でございます」

「手のうちはみえている」と雅楽頭は云った、「いかにうまく面を冠っても、この雅楽頭の眼を眩ますことはできぬ、原田甲斐、そのほうの手のうちはみえているぞ」

「これは、これは」と甲斐は袴の膝を静かに撫でた、「いま御威勢さかりの厩橋さまに、そうにらんでいただくとは果報でございますな」

「そのくらいでよろしかろう」