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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

六郎兵衛は唇を歪め、失礼ですが頂戴しますと云って、盃を取り、手酌で飲もうとした。だが不運なことに、銚子はもう空だったし、甲斐は見ようともしなかった。二重、三重とつづけさまに、しかもみずから恥をかさねた六郎兵衛は、罠にかかったような、身動きもできない気持になった。

「すっかり云いましょう」

六郎兵衛は盃を口へもってゆきながら云った。それにはひと滴の酒しか入っていなかったが、彼はそれを、たっぷり入っているかのように呷り、喉でごくっと音をさせた。

けれども甲斐は冷やかに、しかもそっぽを見たまま云った、「それは聞くには及ばない、私には関係のないことだし、興味もない」

「しかしいま貴方は、云われたでしょう」と六郎兵衛は云った、「宮本や畑姉弟を使って、なにを企んでいるか、云ってみろと云われた筈です」

「それは聞きたくないという意味だ」と甲斐が云った、「厩橋侯と一ノ関さまが、なにか謀計をめぐらせているということはあり得ない、そういう評を耳にしたようにも思うが、そんなことはあり得ない、それは畑姉弟を誘拐しようとしたそこもとの、気の毒な失敗よりもあり得ないことだ、という意味を云ったまでだ」