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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

「乱暴はなさらなかったが」と周防は声をひそめた、「気が弱っていらっしゃるのだろう、しきりに接待の貧しいことを弁解されたり、涙をこぼされたりした、また、いつぞや船岡が来てくれたとき」

「わかった」と甲斐は顔をそむけた、「その話しはよしてくれ」

「いや、伝言なのだ、せっかく来てくれたのに乱暴をしてしまった、酔って自分がわからなくなったのだが、済まなかったと、甲斐に伝えてくれとの仰せだった」

甲斐はあるかなきかに頷いた。

二人はそのまま沈黙した。互いになにか思い耽っているようだったが、やがて、甲斐は炉の火に焚木をくべながら「夜になると道が難渋だから、いまのうち館まで帰ってはどうか」と云った。しかし船岡も帰るのだろう。いや私はまだ帰らない。では古内主膳のほうはどうする、弔問にゆくのだろう、と周防が訊いた。甲斐は静かに首を振った。

「松山は知っている筈だ」と彼は云った、「私は人の弔問や法要にはゆかない、人と人のつきあいは生きているあいだのことだ、死んでしまってからいったところで、――」

こう云って、甲斐は焚木の一本を折った。周防は不満そうに、「では葬儀にも出ないのか」