Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
それはそれだけいいことがあるからだ、どんな苦しい辛いおもいもいとわないほど、いいことがあるからだ、ときよきは云った。そんないいことってなんだ、きよきは知っているのか。ふじこは知らないのか。またさっきと同じとこへ返ったな、知らないから教えてくれっていうだ。へ、いいふりこきが、ときよきは云った。いいことってのはな、躯じゅう八万八千の毛穴が一つ一つちぢみあがるような気持だとよ。へええ、それっきりか。そのうえに、おめえのような性分ならこむらげえりがするって云わあ。どうしておらのような者はこむらげえりがするだ。それは好き者だからだべさ。おらが好き者か。眼が下三白で手の甲にほくろのある者は好きだっていうだ。そう云う者はぼんのくぼと踵で這いまわるだとよ。ときよきは云った。
「よう、もうやめにすべえよ」となをこが云った、「たのむからほかの話しにすべえ、本当に殿さまに笑われるし、恥ずかしいだからよ」
「なをこもいいかげん白ばっくれるだな」ときよきが云った。
「おめえ恥ずかしいなんて、もう去年の春に太平から手ほどきされてるでねえか」
なをこは「やめておくれ」と云い、さっと耳まで赤くなった。