Japanische Klassiker mit Furigana
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はしのした
橋の下
山本 周五郎
Lesen Sie 橋の下 (はしのした) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.189 Zeichen · 25 Bildschirme
二
老人はその鉤へ湯沸しを掛けながら、妻女になにか云いつけ、また、それとなく若侍のようすをぬすみ見ていた。
二
「あれは刀のようだが」とやがて若侍が訊いた、「御老人はもと武家だったのか」
「これ」と老人は妻女に云った、「おまえもうひと眠りするがいい、粥が出来たら起こしてやる、それまで横になっておいで」
妻女はなにかを片づけていた。
「立町の国分という材木問屋の主人が亡くなって、ゆうべ通夜がございました」と老人は若侍に云った、「残り物があるから取りに来い、と云われたものですから、頂戴にいってさきほど戻ったところでございます」
妻女は口の欠けた土瓶と、湯呑を二つ、塗の剥げた盆にのせて、老人の脇に置くと、よく聞きとれない挨拶を述べ、石垣と橋との隙間へ、緩慢な動作で這いあがっていった。老人はまた若侍のようすを見た。彼は黒い無紋の袖の羽折を重ねていたが、着物も下衣も白であった。
「寒くはないか」と老人は振返って妻女に呼びかけた、「衿をよく巻いておくんだぞ」
妻女が低い声でなにか答え、老人はまた若侍の着物を見た。その白い着物が、老人になにごとか思いださせたらしい、焚火に枯枝をくべながら、老人はゆっくりと頷いた。