Japanische Klassiker mit Furigana
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はしのした
橋の下
山本 周五郎
Lesen Sie 橋の下 (はしのした) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.189 Zeichen · 25 Bildschirme
老人は茶を啜り、それからゆっくりと続けた、「その友達とは幼年のころから親しかった、私のほうが一つ年下でしたし、友達の家は徒士にすぎなかったが、二人は兄弟よりも親しかったといってもいいでしょう、さよう、――いちどこんなことがありました、たしか十一か二のときだったでしょう、のちに諍いのたねになった娘のことで、私がひどく怒り、三人でなにかしていたのを放りだして、私だけさっさとそこをたち去りました」
老人は唇に微笑をうかべ、さもたのしそうに、頭を左へ右へと振った。
「三人でなにをしていたのか、場所がどこだったか、私がなんで怒ったのか、いまではすっかり忘れてしまいました、うろおぼえに落葉の音を覚えています、私は落葉を踏んで歩いていました、するとまもなく、うしろでも落葉を踏む音が聞える、その音がずっと私のあとからついて来るのです、私はてっきり娘が追って来たものと思い、振返ってみると友達でした。
――ついて来るな、帰れ。
私はそうどなって、もっといそぎ足に歩き続けたのです、友達はやはりついて来ますし、私は二度も三度もどなりました」
老人は自分で静かに頷き、茶をひとくち啜った、「その友達は躯も小柄でしたし、眉は濃いが、まる顔で頭が尖っているため、握り飯のような恰好にみえるので、みんなから黙りむすびと呼ばれていました、黙り