Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
一三 日よけ
ぐずぐずしては居れない。)
彼は、急いで鳥居をくぐり、ふたたび川沿いの路に出たが、向う岸の暗い青田から水を渡って吹いて来る風は彼の額に凉しかった。彼は、いくぶんはずむような足どりで家に急いだ。
一三 日よけ
帰ってみると、俊亮は默然として茶の間に坐っていた。二三冊の帳簿をまえにひろげ、団扇も使わないで、じっと何か考えているふうだったが、次郎を見ると、すぐ台所の方を向いて言った。
「お芳、次郎が帰って来たよ。」
台所では、お芳がもう食事のあと片づけをしているところだったが、
「あら、そう。……次郎ちゃん、ひもじかったでしょう。どこへ行ってたの。」
次郎は、二人の言葉から、自分のいなかった間の家の様子を直感して、うれしいような悲しいような気持になった。彼は、しかし、すぐ台所に行く気にはなれず、そのまま俊亮のまえにかしこまって首をたれた。
「次郎ちゃん、ご飯は?」
お芳が台所から声をかけた。
「あとでいいです。」
次郎は首をたれたまま答えた。
「どうしたんだ。早くたべたらどうだ。」
俊亮は、そう言って、ひろげていた帳簿をばたばたとたたんだが、すぐ団扇をもって座敷の方に立って行った。