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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「しかし、つぶれない鑿なんて、あるかね。」

「あります。」

「どんな鑿だい。」

「それは、先生がさっき仰しゃったように、信ずることです。自分が努力さえすれば、それだけ世の中がよくなると信ずることです。」

「うむ、その通りだ。人間の心の鑿は、彫刻家の鑿とはちがって、そうした信の力さえ失わなければ、決してつぶれるものではない。いや、堅いものにぶっつかればぶっつかるほど、かえって鋭くなって行くのが、人間の心の鑿だ。むろん、人間には過ちというものがある。また、自分のせっかくの真心が通らないで、かえってそのために侮辱をうけることもある。それは君が現に春月亭で経験したとおりだ。過ちを犯せば悔みたくもなるだろうし、侮辱をうけたら腹もたとう。しかし、それはそれでいいんだ。そのために信の力がくじけさえしなければ、後悔の涙も怒りの炎も、そのまますばらしい力となって生きて来るんだ。」

朝倉先生は、そう言って、両手を次郎の肩にかけ、強くゆすぶりながら、

「いいかね。……あぶないところだったよ。」

と、いかにも慈愛にみちた眼で次郎の眼に見入った。

次郎の眼も、しばらくは先生の眼を見つめたまま動かなかった。