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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme

Aozora Bunko

「しかし、先生――」

と、彼は、いくぶん口籠りながら、

「世の中には、どんなに真心をつくしても、それの通じない人間もあるんじゃありませんか。」

「例えば春月亭のお内儀のように、と言うんだね。」

「はい。僕は、あんな女にも女神が擒にされているなんて、とても思えないんです。」

「そんなことを言えば、話はまた逆もどりするだけだ。」

「しかし、例外ということもあるんでしょう。」

「人間に例外はない。人間の本心はみな美しいんだ。」

朝倉先生の言葉はきっぱりしていた。次郎がびっくりしたように眼を見張っていると、

「人間の心に例外があると思うのは、そう思う人自身の心がまだ十分に磨かれていないからだ。同じ大理石を見ても、ミケランゼロにはその中に女神が見出せたし、彼の友達にはそれが苔だらけの石にしか見えなかったんだからね。」

しばらく沈默がつづいた。次郎は地べたを、朝倉先生は次郎の横顔を見つめていた。奥さんはうしろから、二人を等分に見くらべていたが、心から次郎をいたわるように言った。

「ほんとうに大事なことですけれど、あたしたちにはむずかしいことですわね。」

「そりゃあ、誰にだってむずかしいことだよ。