Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

「うまい、まずいを言うのじゃない。いつの幾日にも何時にも、洒落にもな、生れてからまだ一度も按摩さんの味を知らないんだよ。」

「まあ、あんなにあんた、こがれなさった癖に。」

「そりゃ、張って張って仕様がないから、目にちらつくほど待ったがね、いざ……となると初産です、灸の皮切も同じ事さ。どうにも勝手が分らない。痛いんだか、痒いんだか、風説に因ると擽ったいとね。多分私も擽ったかろうと思う。……ところがあいにく、母親が操正しく、これでも密夫の児じゃないそうで、その擽ったがりようこの上なし。……あれ、あんなあの、握飯を拵えるような手附をされる、とその手で揉まれるかと思ったばかりで、もう堪らなく擽ったい。どうも、ああ、こりゃ不可え。」

と脇腹へ両肱を、しっかりついて、掻竦むように脊筋を捻る。

「ははははは、これはどうも。」と按摩は手持不沙汰な風。

女房更めて顔を覗いて、

「何んと、まあ、可愛らしい。」

「同じ事を、可哀想だ、と言ってくんねえ。……そうかと言って、こう張っちゃ、身も皮も石になって固りそうな、背が詰って胸は裂ける……揉んでもらわなくては遣切れない。遣れ、構わない。