Japanische Klassiker mit Furigana
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うたあんどん
歌行灯
泉 鏡花
Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme
と調子が緊って、
「……ひきあげたまえと約束し、一の利剣を抜持って、」
と扇をきりりと袖を直す、と手練ぞ見ゆる、自から、衣紋の位に年長けて、瞳を定めたその顔。硝子戸越に月さして、霜の川浪照添う俤。膝立据えた畳にも、燭台の花颯と流るる。
「ああ、待てい。」
と捻平、力の籠った声を掛けた。
十八
で、火鉢をずっと傍へ引いて、
「女中、もちっとこれへ火をおくれ。いや、立つに及ばん。その、鉄瓶をはずせば可し。」と捻平がいいつける。
この場合なり、何となく、お千も起居に身体が緊った。
静に炭火を移させながら、捻平は膝をずらすと、革鞄などは次の室へ……それだけ床の間に差置いた……車の上でも頸に掛けた風呂敷包を、重いもののように両手で柔かに取って、膝の上へ据えながら、お千の顔を除けて、火鉢の上へ片手を裏表かざしつつ、
「ああ、これ、お三重さんとか言うの、そのお娘、手を上げられい。さ、手を上げて、」
と言う。……お三重は利剣で立とうとしたのを、慌しく捻平に留められたので、この時まで、差開いたその舞扇が、唇の花に霞むまで、俯向いた顔をひたと額につけて、片手を畳に支いていた。