Japanische Klassiker mit Furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Lesen Sie 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.396 Zeichen · 23 Bildschirme
「おつねさん。師匠はまだ、なかなか起きそうにもねえから、あっしゃ一寸並木まで、用達に行って来るぜ」
「亀さんにも似合わない、お師匠さんが、こんなに早くお起きなさらないのは、知れきってるじゃないか」
「知っちゃアいるが、今朝ばかりは、別だろうと思ってよ」
「そんなことがあるものかね。大きな声じゃいえないが、ゆうべは何か変ったことでもあったと見えて、夢中で駈込んでくると、そのままあたしに床を取らせて寝ておしまいなんだもの。そう早く起きなさるわけはありやしないよ」
「ふん、だからよ。だからその変ったことのいきさつを、ゆっくり師匠に訊きてえんだ。――まあいいや。半時ばかりで帰って来るから、よろしくいっといてくんねえ」
亀吉の足音が、裏木戸の外へ消えてしまうと、怯えた子供のように、歌麿は夜具の襟から顔を出して、あかりを見廻した。
「びっくりさせやがる。こんなに早く来やがって。――」
のこのこと床から這い出した歌麿は、手近の袋戸棚を開けると、そこから、寛政六年に出版した「北国五色墨」の一枚を抜き出した。それはゆうべ会った陰女のお近と寸分も違わない、茗荷屋若鶴の姿だった。