Japanische Klassiker mit Furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Lesen Sie 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.396 Zeichen · 23 Bildschirme
――」
そういいながら、ようやく起き上ったお近はべたりととんび脚に坐ると、穴のあくほど歌麿の顔を見守った。
「おかしいか」
「そうさ。あたしゃお前さんが思ってるほど、頼りになる女じゃあないからねえ」
「うん、その頼りにならねえところを見込んで頼みに来たんだ。――それ、少ねえが、礼は先に出しとくぜ」
親指の爪先から、弾き落すようにして、きーんと畳の上へ投げ出した二分金が一枚、擦れた縁の間へ、将棋の駒のように突立った。
「おや、それアお前さん、二分じゃないか」
お近は手にしていた煙管の雁首で、なま新らしい二分金を、手許へ掻きよせたが、多少気味の悪さを感じたのであろう。手には取らないでそのまま金と歌麿の顔とを、四分六分にじっと見つめた。
「どうだの。ひとつ、頼みを聞いちゃくれめえか」
「さアね。大籬の太夫衆がもらうような、こんな御祝儀を見せられちゃ、いやだともいえまいじゃないか。だがいったい、見ず知らずのお前さんの、頼みというのは何さ。あたしの体で間に合うことならいいが、観音様の坊さんを頼んで、鐘搗堂の鐘をおろして借りたいなんぞは、いくら御祝儀をもらっても、滅多に承知は出来ないからねえ」