Japanische Klassiker mit Furigana
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まさおかしきくん
正岡子規君
伊藤 左千夫
Lesen Sie 正岡子規君 (まさおかしきくん) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.058 Zeichen · 9 Bildschirme
爾来長塚は東京に在ってはもちろん、郷里にある時でも一日も先生ということは脳中を離れぬ様であった。その郷里は汽車場までは七八里もあるという辺鄙でありながら、絶えず何かを贈っている。旅に出ればまた必ず旅先から土産を贈ってくる。であるから根岸庵では節の噂はたえぬのである。節が出京すると云うてくる先生はいかにもそれを待ち楽しんだ様であった。或る時など予が訪問すると、一昨日長塚がきて今日は君がくる日だからまた参ると云うて帰った、今に来るだろうというて、何か妹さんなど呼んで用意を命じた様であったが、どうしたか長塚がこの日ついにきなかった。この時の先生の長塚を待ったなどそれは非常であった。長塚がこないを十何遍繰返したろう。
先生が節に教ゆるは歌の上ばかりではない。人間と云うものの総ての上について噛んで含める様に教えた様であった。随分叱り飛ばすこともある。長塚が先生に物を乞うことがある書画など、こんな物を何すると叱る、しばらくして先生貰ってもえでしょうという、馬鹿と叱る、またしばらくすると先生貰ってもえでしょうという、その無邪気なるには先生も敵しかねてついに持ってゆけとやってしまうと云う塩梅である。