Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつのかきおき
正雪の遺書
国枝 史郎
Lesen Sie 正雪の遺書 (しょうせつのかきおき) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.367 Zeichen · 15 Bildschirme
一層門戸を張りました。すると道場は、それに連れて繁昌するではございませんか。まもなく門弟三千人と註されるようになりました。一万石以上の大名生活! それが私の生活でした。そういう生活をしている間も、私は隙無く目を配って、これはと思われる武士に対して、あるいは武芸で嚇し付け又は弁論で胆を奪い配下に附けることを忘れませんでした。集まって来た一味の中には、毛色の変わった人間も、幾人か見えて居りました。
一貫弾の大砲を抱え打ちにする牧野兵庫――紀伊家のご家臣でございます。降雨晴天自由自在、天文に秀でた秦野式部……これらは分けても、党中にあっても異色のある者達でございます。この他奥村八右衛門をもって訴人致させましたその際に、お手許に迄差し出したはずの連判状に記されてある頭立ったる数十名の者は、いずれもそれぞれ何等かの方面の達人なのでございます。
しかし、徳川の社稷に向かって鼎を上げようとするような者は、ほとんど一人もないということは確かな事実でございます。即ち一方の旗頭たる者は、済々として多士ではございますが、将帥の器を備えている者は、全然皆無なのでございます。