Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつのかきおき

正雪の遺書

国枝 史郎

Lesen Sie 正雪の遺書 (しょうせつのかきおき) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.367 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

貴方は恐らくこう仰有るでしょう。

「なに正雪が自殺したと? そうしてそれは真実かな?」と。

――そうです、それは真実なのです。私はこれから自殺いたします。私の首を討ち落とそうと、覚善坊はもう先刻から長光の太刀を引き着けて私の様子を窺っています。

私の心は今静かです。実に限りなく静かです。顕文紗の十徳に薄紫の法眼袴。切下髪にはたった今櫛の歯を入れたばかりです。平素と少しの変わりもない扮装をして居るのでした。私の周囲を取り囲んで十三人の同志の者が声も立てずズラリと居流れて居ます。戸次与左衛門、四宮隼人、永井兵左衛門、坪内作馬、石橋源右衛門、鵜野九郎右衛門、桜井三右衛門、有竹作左衛門、これらの輩は一味の中でもいずれも一方の大将株で、胆力の据わった者どもでしたから、こういう一期の大事に際しても顔色ひとつ変えてもいません。一同の介錯を引受けた僧覚善に至っては、阿修羅のような顔をして、じっと聴耳を澄ましています。そして時々思い出したように、口の中でこんなことを唱えています。

「生死流転、如心車鑠、五百縁生、皆是悪逆、頓生菩提」

町奉行落合小平太殿、御加番松平山城守殿、お二方の手に率いられた六百人の捕り方衆は、もう先刻から私共の旅宿、梅屋勘兵衛方を追っ取り巻き、時々鬨の声をあげるのが手に取るように聞こえてきますが、左右無く