Japanische Klassiker mit Furigana
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はぐるま
歯車
Lesen Sie 歯車 (はぐるま) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.267 Zeichen · 52 Bildschirme
「そうだ。あのシュシュン……」
僕はなぜか朱舜水と云う言葉を正確に発音出来なかった。それは日本語だっただけにちょっと僕を不安にした。しかし彼は無頓着にいろいろのことを話して行った。Kと云う小説家のことを、彼の買ったブル・ドッグのことを、リウイサイトと云う毒瓦斯のことを。……
「君はちっとも書かないようだね。『点鬼簿』と云うのは読んだけれども。……あれは君の自叙伝かい?」
「うん、僕の自叙伝だ」
「あれはちょっと病的だったぜ。この頃体は善いのかい?」
「不相変薬ばかり嚥んでいる始末だ」
「僕もこの頃は不眠症だがね」
「僕も?――どうして君は『僕も』と言うのだ?」
「だって君も不眠症だって言うじゃないか? 不眠症は危険だぜ。……」
彼は左だけ充血した目に微笑に近いものを浮かべていた。僕は返事をする前に「不眠症」のショウの発音を正確に出来ないのを感じ出した。
「気違いの息子には当り前だ」
僕は十分とたたないうちにひとり又往来を歩いて行った。アスファルトの上に落ちた紙屑は時々僕等人間の顔のようにも見えないことはなかった。すると向うから断髪にした女が一人通りかかった。彼女は遠目には美しかった。