Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しのよこく
死の予告
野村 胡堂
Lesen Sie 死の予告 (しのよこく) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.149 Zeichen · 34 Bildschirme
伯爵の悩み
伯爵の悩み
「千種君、暫らく此処へ掛けたまえ、平常あまり人が来ないから、掃除は行届かないが、その代り此辺なら決して話を人に聞かれる心配は無い」
私のためには旧藩主に当る元伯爵海原光栄氏は、尊大が通りものの顔を柔げて、広大な庭園の奥の、洒落た四阿の中に私を導き入れました。
真中から綺麗に分けた毛は、いくらか胡麻塩になりかけましたが、血色の良い見上げるような若い頃美男で鳴らした俤を充分留めて居ります。
それにしても、その典麗な顔をネジ曲げるような、不安とも懊悩とも付かぬ、不思議な表情の往来するのは何うしたことでしょう。
「何んなお話ですか、伯爵」
「こんな場所へ引張って来たら、さぞ不思議に思うだろうが、斯うでもしなければ、私はどうも安心して話が出来ない」
「…………」
「千種君、君は私と旧藩の関係はあるが、公人としては東京第一という敏腕な新聞記者だ。私の話を聞いたら、その中から、キット事件の核心を掴んで、この私の不安を一掃してくれるに相違ない――」
「お言葉中ですが伯爵、私は関東新報の社会部長をして居るだけで、決して敏腕な記者でも何んでもありません、十日ばかり前お屋敷の書生さんが変死されたということですが、そんな事件に絡んでの問題でしたら、警察の方へ仰しゃって、然るべき専門家に探索して貰いなすった方が宜しいかと思います