Japanische Klassiker mit Furigana
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ダンスマカブル
死の舞踏
野村 胡堂
Lesen Sie 死の舞踏 (ダンスマカブル) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.576 Zeichen · 21 Bildschirme
この怪奇な物語の筋を進める前に、私は引きむしられた楽譜を送って来た幽香子の事をお話して置かなければなりません。
幽香子、幽香子、何んという美しい淋しい名でしょう。これは私の義理の妹で、今は実業家佐良井金三の夫人になって居る、この世の中で、一番不幸な女です。何うして不幸せかというと、それは、幽香子の身に付いた、巨万の財産があったからで、そんなものがあるばかりに、実業家と称する佐良井金三の、何度目かの妻になる運命を背負わされてしまったのです。
幽香子は、相当に美しくもあり、私の妹分で一緒に育った関係から、ピアノもかなり上手に弾きましたが、内気で陰鬱で引っこみ思案で、実業家の夫人という肌合の女ではありませんでした。それがどうして、名題の悪で通って居る佐良井などと結婚したかというと、それにはいろいろ事情もあったのですが、兎に角、男前も口前も十人並以上で、その上三人分も智慧のある佐良井が、世間見ずの娘を口説き落すのは、朝飯前の仕事でしか無かったと言えば充分だろうと思います。
一旦の過ちから、こんな男に嫁いだ幽香子の不幸は申すまでもありません。いくらか芸術的な天分も持った憂鬱な幽香子と、金儲のためには、どんな事でもして退けようという肌合の佐良井とは、結婚後一ヶ月経たない内に、到底並び立ちそうもないことが判ってしまい