Japanische Klassiker mit Furigana
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ダンスマカブル
死の舞踏
野村 胡堂
Lesen Sie 死の舞踏 (ダンスマカブル) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.576 Zeichen · 21 Bildschirme
ました。
けれども、佐良井に取って、それは飼犬の毛並が少し気に入らない程の事件でもなかったのです。幽香子の持って居る巨万の富さえ自由になれば、幽香子は毎日メソメソ泣いて居ようと自分の室でピアノばかり叩いて居ようと、そんな事は一向関係した事では無かったのです。
「幽香子も可哀想だ」
「本当にお可哀想ですね」
私と愛子は、終始噂をして居りましたが、佐良井が厳重に監視して居るために、呼び戻すことも、離婚させることも出来ない有様になって居たのです。
幽香子の手紙、泣言たらたらな手紙は、一週間一本ずつは受取りましたが、佐良井の手紙というものは、活版刷の年始状と、暑さ寒さの見舞状以外に、私が受取ったのは後にも先にもこれが初めてです。
読んで見ると、暑さ見舞と無沙汰の詫が二行、その後へ(家内がこの楽譜を兄上のところへ送ってくれというから、お送り申し上げる。いつぞや拝借したのを、うっかり忘れて返さずに居たのだそうだ。どうぞ悪しからず、実は家内からお送りする筈だったそうだが、二三日前から病気で臥って居るので、私が代ってお詫を申上げる。女はどうも口やかましくて叶わない、ことに病気にでもなると、思い立ったらどうしても実行させずには措かない、困ったものだ。