Japanische Klassiker mit Furigana
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しまでをかたる
死までを語る
直木 三十五
Lesen Sie 死までを語る (しまでをかたる) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.739 Zeichen · 85 Bildschirme
谷町六丁目交叉点の、内安堂寺町側、谷町館の東側、丁度、乗客が電車を待つ為に立つ所が、そうであった。当時の谷町筋は、鎌倉時代から、紀州、河内へ行く、唯一の道で、今の天満橋、昔の渡辺橋から、一直線に、天王寺の前へ出て、丁度、右手に海を見晴らし、左手に小高く森のつづいていた道であるが、極めて細いものであった。
城に近いし、唯一のいい路なので、砲兵隊が大砲を率いて、よく通ったが、私の家の上げ店が、その車輪にかかって、破られたのを、覚えている。
この生れた家は、私の記憶にして、誤り無くんば、三間あった。店と、次と、奥と――そして、道具として、長火鉢が一つあった。私が立てるか、立てぬかの時分、この長火鉢の抽出しを開けると、油虫が、うじゃうじゃと走り廻っていたのだ。
(何んだろう)
と、別に、恐くもなく、不思議がったのが、今でも、はっきりと残っている。店の品物なんぞは、有ったか、無かったか、少しも憶えていないが、汚くて、暗い家であった印象は、本当であろう。
この家に出入していた人で「鹿やん」というのが、その後も、よく母を慰めにきて、私の為に土産物などをくれたらしい。