Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しかばねをくうおとこ
死屍を食う男
葉山 嘉樹
Lesen Sie 死屍を食う男 (しかばねをくうおとこ) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.482 Zeichen · 16 Bildschirme
すぐに彼は静かに上半身を起こして耳を澄ました。
木の葉をわたる微風のような深谷の気配が廊下に感じられた。彼はやはり静かに立ち上がると深谷の跡をつけた。
廊下に片っ方の眼だけ出すと、深谷が便所のほうへ足音もなく駆けてゆく後ろ姿が見えた。
「ハテナ。やっぱり下痢かな」
と思ううちに、果たして深谷は便所に入った。が安岡は作りつけられたように、片っ方の眼だけで便所の入り口を見張り続けた。
深谷は便所に入ると、ドアを五分ばかり閉め残して、そのすき間から薄暗い電燈に照らし出された、ガランとした埃だらけの長い廊下をのぞいていた。
「やっぱり便所だったのか。それにしてはなんだって人の寝息なんぞうかがいやがるんだろう。妙な奴だ」
と、安岡が五分間ばかり見張りにしびれを切らして、ベッドのほうへ帰ろうとする瞬間、便所のドアが少しずつ動くのを見た。ドアは全く音もなく、少しずつ開き始めた。
深谷の姿はドアがほとんど八分目どころまで開いたのに見えなかった。まるでドアが独りでに開いたようだった。安岡はゾッとした。
と、深谷の姿が風のように廊下に飛び出して、やにわに廊下の窓から校庭に跳び出した。