Japanische Klassiker mit Furigana
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のこされたるえど
残されたる江戸
柴田 流星
Lesen Sie 残されたる江戸 (のこされたるえど) von 柴田 流星 (しばたりゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.677 Zeichen · 80 Bildschirme
都会の膨脹が尺地をも余さず、庭というもの店舗を有する人々には次第に失われ行くにつれて、かれらの自然美に憧るる心は遂にここに赴いて、その幾鉢を領することに満足する以上、残されたる江戸趣味の中にも、かかる類いは永遠に滅びざるものの一つとや言おうか。
ああ自然は遂に滅びぬ。人は物質の慾に足っても、それで始終の満足はされぬ。かくてかれらは自然に憧れ、かくてかれらは尺寸の別天地を占むるに算盤珠を弾かぬのだ。
苗売り
「朝ァ顔の苗夕顔の苗。隠元、唐茄子、へちィまの苗。茄子の苗ェ黄瓜の苗。藤ィ豆、冬瓜、ささァぎの苗」
静かな朝の巷に、その美しい咽喉を利かせて、節面白く商いあるく苗売りの生業は、岡目にばかり風流なものではない。
某のお店の若旦那、清元に自慢の咽喉を人に誇っていたまではよかったが、一ト朝この苗売りの声を聞いて心ぞその身もなって見たく、私かに苗売りの後に尾して、その家に訪ねゆき、事をわっての頼みに、初めのほどは止めても見たが、たっての所望致しかたなく、翌朝はこの若旦那のお供して、「朝ァ顔の苗――ささぎの苗――」とりどりに呼び歩いたが、若旦那荷だけは半町も担げず、すぐに代って貰った。