Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうだにのおにび
殺生谷の鬼火
山本 周五郎
Lesen Sie 殺生谷の鬼火 (せっしょうだにのおにび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.545 Zeichen · 19 Bildschirme
……然し旨く考えたよ、殺生谷の伝説を利用して狼を馴らし、毛へ夜光剤を塗って鬼火に仕立てるなんか馬鹿じゃ出来ない事だ。それも自分の家へ飼って置いては発見される怖れがあるから、人の近寄らない殺生谷の裸岩に隠して置き、必要に応じて使ったところは天晴だ。――僕は然し、洞穴の入口で黄色い粉を拾った時、それが夜光剤だと知って大体の見当がついたんだ」
「でもよく母さん殺されなかったわね」
「如何に悪人でも、義理の姉を手にかける事は出来ないさ、あの洞穴の中で飢死させてから、底無し沼へ沈める積だったのだろう。――ゆうべ狼を曳出しに行った時、母さんにこれからチイ公をやっつけに出掛けるんだと口を滑らしたのが此方には仕合せで、危うく君が助かったんだ」
「まあ、なんて怖ろしい人でしょう」
「なに昔から彼の人にはそんなところがあったよ、唯……」
と云いかけた時、庭先へ平造老人が入って来て、帽子を差出しながら云った。
「若旦那さま、幾ら捜しても西の旦那はみつかりましねえ、この帽子が底無し沼に浮いとりましたから、殊に依ると彼処へ……」
「そうだ、其で宜いんだ」
敦夫は頷いて云った。「彼処が叔父さんに一番相応しいお墓だよ、――神よ、彼人の魂に平安あれ」