Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ははのへんし

母の変死

田中 貢太郎

Lesen Sie 母の変死 (ははのへんし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.809 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

私は呆れてしまって、

「お母さん気でも違ったのですか、こんなに蝋燭や線香ばかり買って来ても、使いようがないじゃありませんか」

と云いますと、母は済まして、

「なあに、毎日使えば、直ぐになくなるよ」

とこうなんです。そして、私が呆れている間に、又どこかへ出かけようとしますので、あわてて引き停めると、

「心配しないでもいい、私はとても佳い処へ往って来たが、又往かなくてはならない」

と云って笑うのです。その嬉しそうな容子と云ったら、母はむっつり屋で滅多に笑顔を見せるような事が無いので、却って無鬼魅に思えたくらいでした。で、私はますます怪しんで母を停めようとする。母は往こうとする。こうして二人で争っていたところを、良人に起こされたのでした。良人は私の夢の話を聞くと、

「なあに、それは、あんまりお母さんのことを心配してるから、気のせいでそんな夢を見たのだよ」

と云って笑いましたが、私は気になって仕方がありませんでした。もしや、母の身に何か不吉なことがあったのではあるまいか、などと思うと、もうとても眠る気にはなりません。すると、その時仏間の方でちイんと言う鉦の音がしました。