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Japanische Klassiker mit Furigana

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ははへのついぼ

母への追慕

上村 松園

Lesen Sie 母への追慕 (ははへのついぼ) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.091 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

であると、私はいつも母の健気な姿を憶うて感謝している。

葉茶屋をしていた私の店には、お茶を乾燥させるための大きなほいろ場があった。

お茶がしめるといけないので、折々ほいろにかけてお茶を乾燥させるのであるが、この火かげんがなかなかむつかしかった。

子供のころ夜中にふと目をさますと、店先でコトコト音がして、母が夜中に起きてほいろをかけている容子が聞えるのであった。

プゥ……ンと香ばしい匂いが寝間にまでただよって来て、私はその匂いを嗅ぎながらふたたびうとうとと睡りにおちたものである。

ぱらばら、ぱらぱらと、しめったお茶を焙じている音を、何か木の葉でも降る音にききながら……

私の十九のとき、隣りから火が出て私の家も丸焼けとなってしまった。

何ひとつ運び出すひまもなく類焼の災にあってしまったのであるが、苦心して描いた縮図や絵の参考品も失ってしまった時には、さすがの私も呆然としてしまった。

母は家財や着物の焼けたのは少しも惜しがらず、私の絵に関した品々の焼失をいたく惜しんでくれた。

「着物や家の道具は働いてお金を出せば戻るが、絵の品々は二度と手にはいらぬし、同じものを二度とかけぬから惜しいな」