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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

Lesen Sie 母子叙情 (ぼしじょじょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.355 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

青年は、父に促されて、父を通して、かの女たちに、かすかな挨拶をした。

老紳士が、かの女たちに話しかける声音は、場内で一番大きく響いたが、誰も聞き咎める様子もなかった。講演ですっかり声の灰汁が脱けている。その上、この学者出の有名な社会事業家は、人格の丸味を一番声調で人に聞き取らせた。老紳士は世間的には逸作の方に馴染みは深かったが、しかし、職務上からは、はじめて遇ったかの女の方にかねがね関心を持っていたらしい。それで逸作と暫く世間話をしながらも、機会を待つもののようだったが、やがて、さも興味を探るように、かの女をつくづくと見詰めていった。

「不思議ですよ。おくさんは。お若くて、まるでモダン・ガールのようだのに大乗哲学者だなんて……」

かの女は、よく、こういう意味の言葉を他人から聞かされつけている。それで、またかと思いながら、しかし、この識者を通してなら、一般の不審に向っても答える張合いがあるといった気持で、やや公式に微笑みながらいった。

「大乗哲学をやってますから、私、若いのじゃございませんかしら。大乗哲学そのものが、健康ですし、自由ですし」

すると老紳士は、幼年生に巧みにいい返された先生といった快笑を顔中に漲らせて、頭を掻いた。