Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
Lesen Sie 母子叙情 (ぼしじょじょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.355 Zeichen · 153 Bildschirme
瞬き盛りの銀座のネオンは、電車通の狭谷を取り籠めて四方から咲き下す崖の花畑のようだ。また、谷に人を追い込めて、脅かし誑かす妖精群のようにも見えた。
目をつけるとその一人一人に特色があって、そしてまた、特にこれが華やかとも思えない男女が、むらな雨雲のように押し合って塊ったり、意味なく途切れたりしつつ、大体の上では、町並の側と車道の側との二流れに分れて、さらさらと擦れ違って行く。すると、それがいかにも歓びに溢れ、青春を持て剰している食後の夜の町のプロムナードの人種になって、特に銀座以外には見られぬ人種になって、上品で綺羅びやかな長蛇のような帯陣をなして流れて行く。
「やあ」
「よう!」
「うまくやってる」
「どうしたん?」
「しばらく」
きれぎれに投げ散らされるブールヴァル言葉が、足音のざわめきにタクトされつつ、しきりなしに乱れ飛ぶ。扇屋、食料品店、毛皮店、組紐屋、化粧品屋、額縁店等々の店頭の灯が人通りを燦めかせつつ、ときどきの人の絶え間に、さっとペーヴメントの上へ剰り水のように投げ出される。
いつか、人混の中へ織り込まれていたかの女は、前後の動きの中に入って却って落着いた。