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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

Lesen Sie 母子叙情 (ぼしじょじょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.355 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

逸作も青年の手紙を一瞥して、

「じゃまあ逢って見るさ。字の性質も悪くないな」

急にかの女の眼底に、銀座の夜に見たむす子であり、美しい若ものである小ナポレオンの姿が、靉靆朦朧と魅力を帯びて泛び出して来た。かの女はその時、かの女の母性の陰からかの女の女性の顔が覗き出たようではっとした。だが、さっさと面会を約束する手紙を青年に書きながら、そんな気持にこだわるのも何故かかの女は面倒だった。

フリジヤがあっさり挿されたかの女の瀟洒とした応接間で、春日規矩男にかの女は逢った。かの女の手紙の着いた翌晩、武蔵野の家から、規矩男は訪ねて来たのであった。部屋には大きい瓦斯ストーヴがもはやとうに火の働きを閉されて、コバルト色の刺繍をした小布を冠されていた。かの女が倫敦から買って帰ったベルベットのソファは、一つ一つの肘に金線の房がついていた。スプリングの深いクッションへ規矩男は鷹揚な腰の掛け方をした。今夜規矩男は上質の薩摩絣の羽織と着物を対に着ていた。柄が二十二の規矩男にしては渋好みで、それを襯衣も着ずにきちんと襟元を引締めて着ている恰好は、西洋の美青年が日本着物を着ているように粋で、上品で、素朴に見えた。