Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ははおやにのりうつるれい

母親に憑る霊

田中 貢太郎

Lesen Sie 母親に憑る霊 (ははおやにのりうつるれい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.142 Zeichen · 3 Bildschirme

Aozora Bunko

で、緊急集合の命令が出た。そこで真暗い中で橇の準備をして出発したが、なかなか寒かった。何と云う村であったかそこで食事をして、夜明けになって出発した。そのうちに、森の中で敵と遭遇して大激戦が開始されたが、敵は大勢味方は無勢、だんだん死傷者が出るので心細くなったが、俺は日本男児だ、後へ退くものかと思って奮闘しているうちに、敵弾が頭部に命中して、その後の事は判らなくなったと云って、態度なり詞なりが全く勇次郎になって、

「だからもう歎いてくれるな、俺はお国の役に立って死んだのだから、きれいに諦めて、それでお父さんもお母さんも、達者で暮してもらいたい、弟や妹は、俺の分まで孝行してくれ」

と云った。それを聞くと父親が、

「お前は、今夜来るくらいなら、死んだ時何故知らせなかった」

と云うと、

「お父さんやお母さんに知らせると、歎くと思ったから、二人の弟にだけ、その晩に知らしてある」

と云った。そこで父親は、次男と三男に尋ねてみると、

「その通りだ、あの晩、私等二人は、兄さんが顔を血だらけにして帰った夢を見たが、皆が心配すると思って黙っていた」

と云うと、

「そうとも、それで皆判ったろう、これだけ理を話したから、もう歎いてくれるな」