Japanische Klassiker mit Furigana
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ははおや
母親
若杉 鳥子
Lesen Sie 母親 (ははおや) von 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.750 Zeichen · 16 Bildschirme
みを子は母親の肩に掴まって、危ぶない足許(あしもと)を踏みしめて、警察の段々を降りた。外に出ても母親はハンカチを眼頭に宛てて泣いていた。
「ナニ泣いてんの、母さん――」
みを子は横眼で鋭く母親を見ていった。
「先刻(さっき)からみっともないったらありゃしない。私は何も警察へなんか母さんに頭を下げて貰うような、悪いことをしたんじゃないんですよ。」
母親にとっては、それが二ケ月めでやっと逢うことのできた娘の、最初にかけてくれた言葉なのだった。
『娘も変わってしまった――』と彼女は思った。しかし、そういうみを子の気持ちもよく解らないのではなかった。
母親がみを子を連れて家へ帰ってゆくと、職場で喀血してから、仰臥したきりの兄は、久しぶりに妹を見て、壁のような頬にサッと血を上せた。しかし何もいわなかった。
そしてある日、彼は前と別人のような素直さでみを子に話しかけた。
「あの、何といったッけねあの人は、そうだ山崎といったね。あの人は今、どうしているんでい?今度は一ペんも訪ねて来ない。」
「あの人やられました」
「そうか――」
「多分もう、市ヶ谷へ廻った時分でしょう。」