Japanische Klassiker mit Furigana
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もうりせんせい
毛利先生
Lesen Sie 毛利先生 (もうりせんせい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.383 Zeichen · 25 Bildschirme
禿げ頭も変らない。紫の襟飾も同じであった。それからあの金切声も――そういえば、先生は、今もあの金切声を張りあげて、忙しそうに何か給仕たちへ、説明しているようではないか。自分は思わず微笑を浮べながら、いつかひき立たない気分も忘れて、じっと先生の声に耳を借した。
「そら、ここにある形容詞がこの名詞を支配する。ね、ナポレオンと云うのは人の名前だから、そこでこれを名詞と云う。よろしいかね。それからその名詞を見ると、すぐ後に――このすぐ後にあるのは、何だか知っているかね。え。お前はどうだい。」
「関係――関係名詞。」
給仕の一人が吃りながら、こう答えた。
「何、関係名詞? 関係名詞と云うものはない。関係――ええと――関係代名詞? そうそう関係代名詞だね。代名詞だから、そら、ナポレオンと云う名詞の代りになる。ね。代名詞とは名に代る詞と書くだろう。」
話の具合では、毛利先生はこのカッフェの給仕たちに英語を教えてでもいるらしい。そこで自分は椅子をずらせて、違った位置からまた鏡を覗きこんだ。すると果してその卓の上には、読本らしいものが一冊開いてある。毛利先生はその頁を、頻に指でつき立てながら、いつまでも説明に厭きる容子がない。