Japanische Klassiker mit Furigana
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すいせん
水仙
Lesen Sie 水仙 (すいせん) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.364 Zeichen · 23 Bildschirme
」
「ない。」老画伯は、ひとの好さそうな笑顔で、「御自分で、全部破ってしまったそうじゃないですか。天才的だったのですがね。あんなに、わがままじゃいけません。」
「書き損じのデッサンでもなんでも、とにかく見たいのです。ありませんか。」
「待てよ。」老画伯は首をかたむけて、「デッサンが三枚ばかり、私のところに残っていたのですが、それを、あのひとが此の間やって来て、私の目の前で破ってしまいました。誰か、あの人の絵をこっぴどくやっつけたらしく、それからはもう、あ、そうだ、ありました、ありました、まだ一枚のこっています。うちの娘が、たしか水彩を一枚持っていた筈です。」
「見せて下さい。」
「ちょっとお待ち下さい。」
老画伯は、奥へ行って、やがてにこにこ笑いながら一枚の水彩を持って出て来て、
「よかった、よかった。娘が秘蔵していたので助かりました。いま残っているのは、おそらく此の水彩いちまいだけでしょう。私は、もう、一万円でも手放しませんよ。」
「見せて下さい。」
水仙の絵である。バケツに投げ入れられた二十本程の水仙の絵である。手にとってちらと見てビリビリと引き裂いた。
「なにをなさる!」