Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいせん

水仙

太宰 治

Lesen Sie 水仙 (すいせん) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.364 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

は、箸とおわんを持ったまま、うなだれて、何も言えない。涙が沸いて出た。あんな手ひどい恥辱を受けた事がなかった。それっきり僕は、草田の家へは行かない。草田の家だけでなく、その後は、他のお金持の家にも、なるべく行かない事にした。そうして僕は、意地になって、貧乏の薄汚い生活を続けた。

昨年の九月、僕の陋屋の玄関に意外の客人が立っていた。草田惣兵衛氏である。

「静子が来ていませんか。」

「いいえ。」

「本当ですか。」

「どうしたのです。」僕のほうで反問した。

何かわけがあるらしかった。

「家は、ちらかっていますから、外へ出ましょう。」きたない家の中を見せたくなかった。

「そうですね。」と草田氏はおとなしく首肯いて、僕のあとについて来た。

少し歩くと、井の頭公園である。公園の林の中を歩きながら、草田氏は語った。

「どうもいけません。こんどは、しくじりました。薬が、ききすぎました。」夫人が、家出をしたというのである。その原因が、実に馬鹿げている。数年前に、夫人の実家が破産した。それから夫人は、妙に冷く取りすました女になった。実家の破産を、非常な恥辱と考えてしまったらしい。