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Japanische Klassiker mit Furigana

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すいがいざつろく

水害雑録

伊藤 左千夫

Lesen Sie 水害雑録 (すいがいざつろく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.302 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

若い衆は代り代り病気をする。水中の物もいつまで捨てては置けず、自分の為すべき事は無際限である。自分は日々朝草鞋をはいて立ち、夜まで脱ぐ遑がない。避難五日目にようやく牛の為に雨掩いができた。

眼前の迫害が無くなって、前途を考うることが多くなった。二十頭が分泌した乳量は半減した上に更に減ぜんとしている。一度減じた量は決して元に恢復せぬのが常である。乳量が恢復せないで、妊孕の期を失えば、乳牛も乳牛の価格を保てないのである。損害の程度がやや考量されて来ると、天災に反抗し奮闘したのも極めて意義の少ない行動であったと嘆ぜざるを得なくなる。

生活の革命……八人の児女を両肩に負うてる自分の生活の革命を考うる事となっては、胸中まず悲惨の気に閉塞されてしまう。

残余の財を取纏めて、一家の生命を筆硯に托そうかと考えて見た。汝は安心してその決行ができるかと問うて見る。自分の心は即時に安心ができぬと答えた。いよいよ余儀ない場合に迫って、そうするより外に道が無かったならばどうするかと念を押して見た。自分の前途の惨憺たる有様を想見するより外に何らの答を為し得ない。

一人の若い衆は起きられないという。