Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいま

水魔

田中 貢太郎

Lesen Sie 水魔 (すいま) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.727 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はやや安心して、それは死骸が海の方へ流れて往ったので、それで判らなくなったのだろう、そうなれば別に心配することもないと思いだした。それに身の周囲に気をつけて見ると、夜も昼も出歩いて女を漁っていた者が、急に家に引籠っているのが、人の嫌疑を増すようにも思われて来たので、六日目の夜になって怖ごわ外へ出た。

そして、歩いているうちに千束町の造花屋のことを思いだしたので、仁王門から入って公園の中を横切り、猿之助横丁と云われている路次の中へ往った。路次の中へ路次が通じて迷図のように紛糾した処には、一二年前まで私娼のいた竹格子の附いた小家が雑然と簷を並べていたが、今は皆禁止せられて、僅かに残った家は、造花屋と云う怪しい看板をかけて店の小棚に種種の造花を並べていた。

山西の往こうとする処は、路次から路次に曲って二三軒往った処であった。その角には赤い提燈を釣るしたおでん屋があった。一時間ばかり宵闇をこしらえて出た赤い月の光がその簷にあった。山西はここで一つ景気をつけたいと思ったので、その暖簾に首を突っ込んだ。学生風の男が一人おでんを喫っていた。

「一本つけて貰おうか」