Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
「知っての通り、おれは余り酒は飲まないのだから、まあ堪忍してくれ。このうえ酔ったらもう動けないかも知れない」
男には惜しいような外記の白い頬には、うすい紅が流れていた。
「よろしゅうござります。殿様が動けなくおなり遊ばしたら、新造衆が抱いて行って進ぜましょう。たまにはそれも面白うござります」と、女房は口に手を当てて同じように笑っていた。
「いや、まだよいよいにはなりたくない」と、外記も同じように笑っていた。
「それにしても花魁の遅いこと、もう一度お迎いにやりましょう」
女房は会釈して階子を軽く降りて行った。
「ああ、そんなに急き立てるには及ばない」と、外記がうしろから声をかけた時には、女房の姿はもう見えなかった。
実際そんなに急ぐには及ばない。急ぐと思われては茶屋の女房の手前、さすがにきまりが悪いようにも外記は思った。きのうは具足開きの祝儀というので、よんどころなしに窮屈な一日を屋敷に暮らしたが、灯のつくのを待ちかねて、彼は吉原へ駕籠を飛ばした。きょうも流して午過ぎに茶屋へかえって来た。この場合、ふた晩つづけて屋敷を明けては、用人の意見、叔父の叱言、それが随分うるさいと思ったので、彼は日の暮れるまでにひとまず帰ろうとしたのであった。