Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
おとなしい彼女は泣く泣く承知するかも知れないが、そんな弱い者いじめをして仁科林之助、江戸っ子でござると威張っていられるだろうか。林之助は眼にみえないきずながお絹の蛇以上に自分を絞め付けていることをつくづく覚った。
そんなことを思い悩んで、林之助は今夜も眠られなかった。夜があけると、今朝も拭ったような秋晴れで、となり屋敷の大銀杏の葉が朝日の前に金色にかがやいていた。高い空には無数の渡り鳥が群れて通った。その青空をみあげているうちに、林之助の頭はまた新しくなった。
ゆうべは一途にお絹を憎んでいたが、罪はやはり自分にある。こうした関係をいつまでも繋いでいたら、お絹もお里も自分もますます深い苦しみの底へ沈んでゆくばかりである。気を弱く持っていては果てしがない。どうしてもここでお里に因果をふくめて赤の他人になるよりほかはない。無慈悲のようでもいっそ一日も早い方がいい、一寸逃がれに日を延ばしてゆくほどいよいよ二進も三進もいかないことになる。
彼女はお里の母の初七日でも済んだ頃にもう一度その家へたずねて行って、おだやかに別れ話をきめようと思った。自分はそれほど無慈悲な男でもないが、こうなったらどうも仕方がないと、林之助は悲しく諦めた。