Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
お絹はやはり生かして置きたかった。憂しと見し世ぞ今は恋しきとはよく言ったものだと、彼は今更のように感じた。
明くる日は主人が登城の当日で、林之助は何を考えている間もなかった。彼は用人に叱られないようにかいがいしく働いた。登城もとどこおりなく済んで、主人が屋敷へもどって来ると、彼もまず荷を卸したように思った。お絹の葬いはきょうの暮れ方と聞いているので、たとい途中の見送りは出来ないまでも、せめて門送りだけでもしたいと思って、彼は早々に屋敷を出た。出るさきになって気がついたのは、お里の母の死を聞いた時とおなじように、彼は幾らかの銀を用意して行かなければならない事である。いつもの場合と違って、彼は空手でお絹の家の格子をくぐるわけにはいかなかった。
このあいだの二歩がまだ返してないので、林之助は又もや用人に頼むことも出来なかった。屋敷じゅうにはほかに融通の付きそうな人物は見付けられなかった。彼は苦しまぎれに門番の老爺を口説いた。門番は内職をして小金を溜めているということを知っているからであった。
門番は素直に貸してくれないのを林之助はいろいろに頼んだ。それでも彼は肯かなかった。