Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
相方の遊女はお園といって、六三郎よりも三つの年かさであった。十六の歳から色里の人となって今が勤め盛りのお園の眼には、初心で素直で年下の六三郎が可愛く見えた。親方夫婦のほかには懐かしい人はないように思い込んでいた六三郎も、この夜からさらに懐かしい人を新たに発見した。正直な男も恋には大胆になって、その後も親方や兄弟子たちの眼を忍んで新屋敷へ折りおりに姿を見せた。
二人がどっちも若い同士であったら、すぐに無我夢中にのぼり詰めて我れから破滅を急ぐのであろうが、幸いに女は男よりも年上であった。色里の面白いことも苦しいことも知りつくしていた。まだ丁稚あがりの男の身分から考えても、五度逢うところは三度逢い、二度を一度にするのが二人の為であるということも知っていた。彼女は小春治兵衛や梅川忠兵衛の悲しい末路をも知っていた。
「お前とわたしの名を浄瑠璃に唄われとうはない。わたしが二十五の年明けまでは、おたがいに辛抱が大事でござんすぞ」
お園はいつも弟のような六三郎に意見していた。二人の間にもう行く末の約束が固く取り結ばれていたのであった。しかし艶な浮名を好まない質であるのと、もうひとつには自分よりも年下の、しかも大工の丁稚あがりを情夫にしているということが勤めする身の見得にもならないので、お園は自分がいよいよ自由の身になるまで