Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
見も知らない他国へひとり身で飛び込んで行くのが何だか恐ろしかった。海賊の子と指さされて大坂に住むのも辛いが、他国者と侮られて江戸に住むのも苦しかろうと、それが彼の小さい胆をおびえさせた。
六三郎は三月十五日の晩に福島屋へ行った。彼はお園に逢って、江戸へ行かなければならなくなった訳を沈んだ声で物語った。お園も一度は驚いたが、親方の意見も無理はないと思った。なるほど当分は気を抜くためにこの土地を立ち退くのが六三郎の身の為でもあろうと考えた。
他国の奉公は辛くもあろうが、そこが辛抱である。石に喰い付いても我慢しなければ男一匹とはいわれまい。お前が帰って来る頃には、わたしの年季も丁度明ける。そうしたら、どんな狭い裏家住みでも二人が世帯を持って、かねての約束通りに末長く一緒に添い遂げられる。それを楽しみに二人は当分分かれ分かれになって、西と東で暮らすことにしよう。二年三年はおろか、たとい五年が十年でもわたしはきっと待っている。わたしの心に変りはない。お前も江戸の若い女子に馴染などを拵えて、わたしという者のあることを忘れてくれるな。親方の所へたよりをする伝手があったら、わたしの方へもたよりを聞かしてくれ。