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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

気の弱いのも幾らかその弱いからだに伴っている。それが西も東も知らない他国に出て、右も左も他人の中へ投げ込まれたらどうであろう。

「鳥でさえも旅鴉はいじめられる」

お園はそんなことも悲しく思いやられた。自分も初めてこの廓へ身を沈めた当座は、意地の悪い朋輩にいじめられて、蔭で泣いたこともたびたびあった。いっそ死んでしまいたいように思ったこともあった。からだの弱い、気の弱い六三郎は、きっと自分と同じような悲しい口惜しい経験を繰り返すに相違ない。江戸の職人は気があらいと聞いている。その中に立ちまじって毎日叱られたり小突かれたり、散々ひどい目に会わされた上に、万一病み煩いになった暁にも、まわりが他人ばかりでは碌に看病してくれる者もあるまい。

こう思うと、自分の前にしょんぼりと坐っている男の痩せた顔や、そそけた髪や、それもこれもお園の胸を陰らせる種であった。男の末のためを思えばこそ、涙を呑み込んで無理に出してやろうとはするものの、自分とても別れたくないのは山々である。口でこそ二年三年というものの、その間には自分の身にもどんなことが起らないとも限らない。今夜が顔の見納めで、もう二度と逢われないようになるかも知れない。