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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

「それならば猶更のこと。お身がその鶯にあくまでも未練が残って、買い取って我が物にしたいと言っても、おれは友達ずくで意見したい。ましてその鶯には未練も愛着もなく、ただ買い取って放してやるだけに、武士が大切の刀を売るとは、あまりに分別が至らぬように思わるるぞ。なさけも善根も銘々の力に能うかぎりで済ませればよし、程を過ぎたら却って身の禍いになる。この中のおれの行状から見たら、ひとに意見がましいことなど言われた義理ではないが、おれにはまたおれの料簡がある。鶯はただ鳴くだけのことで、藪にあろうが籠にあろうが頓着せぬ。花を眺め、鳥を聴くも、所詮は我れに一時の興があればよいので、その上のことまでを深く考えようとはせぬ。その上に考え詰めたら、心を痛むる、身を誤る。人間は息のあるうちに、ゆく先ざきで面白いことを仕尽くしたらそれでよい。どうだ、半九郎。もう一度よく思い直して見ろ」

「では、どうでも肯いてくれぬか」

「肯かれぬ。また、肯かぬのがお身のためだ」

相手がどうしても取り合わないので、半九郎は失望して帰った。帰る途中で、彼は市之助の意見をもう一度考えてみた。市之助の議論を彼はいちいち尤もとは思わなかったが、籠から鶯を放してやるだけに、武士が家重代の刀を売る。