Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
いっそ千両の金をたんと減らさないうちに八橋を請け出してしまって、残った金でどんな小商いでもはじめる。その方が却って無事かも知れないと彼は言った。
治六も考えた。さきおとといからの流連でも、自分が恐れていたほどに金は懸からなかった。ここの亭主に預けてある五百両のほかに、まだ百六七十両は確かに残っている。もし四、五百両ぐらいで、そっと八橋の身請けができるものならば、いっそそうした方が無事かも知れないと考えた。
「花魁の身請けは幾らぐらいかかるだろうね」と、彼は試みに亭主に訊いた。
亭主も首をひねった。幾らの金があればこの問題が解決するのか、彼にも確かな見当は付かなかった。百両で身請けのできるのもあれば、千両かかるのもある。しかし、吉原で大兵庫屋の花魁を請け出すという以上は、何かの雑用を見積もって、まず千両仕事であるらしく思われた。その話を聴いて、治六も同じく首をかしげた。
「千両かかっちゃあ大変だ。どうにもならねえ」
もともと千両しかない金のうちが、もう三分の一ほどは食い込んでいる。千両の身請けはとてもできない。たとい残りの三分の二で、どうやらこうやら埒が明いたところで、主人と花魁と自分との三人が一文なしではどうにもならない。