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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

もともと今夜の相談は自分の方が少し無理である。無理は自分も万々承知している。しかし無理ならば無理で、なぜ面とむかって不承知を言わない。おとなしそうな顔をして万事呑み込んでおきながら、暗い所でおれを亡い者にしようとする。どう考えても面白くない奴だ。弱い奴だ、卑怯な奴だ、憎い奴だと、次郎左衛門は腹立たしくなった。

「よし、これからもう一度引っ返して行って、あいつの素っ首を叩き落してやろう」

彼はむらむらとして、ふた足三足行きかけたが又かんがえた。あんな意気地のない奴でも人ひとりを殺せば、こっちも罪をきなければならない。罪人になったら八橋にも、もう逢えまい。こう思うと彼の張り詰めた気もまたくじけた。忌々しいが我慢する方が無事であろう、打っちゃって置いたところで、あんな意気地なしがこの後なにをなし得るものでもないと、彼は多寡をくくって胸をさすった。

真っ暗な枯れ田の上を雁が啼いて通った。ここらへ来ると、夜風が真っ北から吹きおろして来て、次郎左衛門は顫えあがるほど寒くなった。つい目の前の廓では二挺鼓の音が賑やかにきこえた。次郎左衛門はもう何も考えずに、まっすぐに吉原の方へむいて行った。