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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

「治六さんもしきりに頼んでおります。わたくしも共どもにお詫びをいたしますから、どうか幾重にも御料簡を……」

次郎左衛門は顔をそむけて聴かないふうをしていた。離れていると何だか寂しいようにも思いながら、顔を見ると彼はやっぱり治六が憎くてならなかった。

十

暮れから催していた雪ぞらも、春になってすっかり持ち直したが、それも七草を過ぎる頃からまた陰った日がつづいて、藪入り前の十四日にはとうとう細かい雪の花をちらちら見せた。

「今夜も積もるかな」

栄之丞は夕方の空を仰いで、独りごとを言いながらよそ行きの支度をした。今夜は謡いの出稽古の日にあたるので、これから例の堀田原へ出向かなければならなかった。本来は一六の稽古日であるが、この十一日は具足開きのために、三日後の今夜に繰り延べられたのであった。

春とはいっても底冷えのする日で、おまけに雪さえ落ちて来たので、遠くもない堀田原まで行くのさえ気が進まなかったが、約束の稽古日をはずす訳にもゆかないので、栄之丞はいつもよりも早目に夕飯をしまって、一張羅の黒紬の羽織を引っ掛けた。田圃は寒かろうと古い頭巾をかぶった。