Japanische Klassiker mit Furigana
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きてき
汽笛
佐左木 俊郎
Lesen Sie 汽笛 (きてき) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.469 Zeichen · 10 Bildschirme
どんなに怒ってみたところで親子は親子ですもの、もう今ごろは、直ぐ許してくれるかもしれないわ。私、手紙を出してみようかしら。ここにいるからここを通るときには、汽笛だけでも鳴らしてくださいって。今ごろは、私達のことをきっと心配しているのよ」
「でも、随分と頑固だからな」
「表面では怒ったような顔をしていても、きっと心配しているんだわ。私達だって、心の中では可愛いんだわ」
秋子の眼は濡れて光って来た。
秋子が父親の吉川機関手に手紙を書いて以来、上り下り二回の直通列車が、汽笛を鳴らさずにその駅を通過することがたびたびだった。鳴らして通る汽笛は、短い打ち切るような性急な音間の抜けた余韻を持たぬ音。波間に浮き沈むような抑揚の激しい長い音。あの野獣の吼えるような唸るような余韻を持った音ではなかった。
病勢が加速度を持ち出して秋子は床に就いたきりだった。そして彼女は、列車の通るたびごとに自分の耳が兎の耳のように長くなるように感ずるのだった。失望から失望の連続だった。その事がまた病勢を強めるのだった。
「こんなことになるのなら、いっそのこと、手紙を出さなければよかったのだわ。