Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
しかも続けざまに三発まで。
三十
有尾人猿の山のような体がもんどり打って地に倒れると、それまで隠れていた山羊や小鳥や小猿の群が林の中からやかましく喋舌りながら現われて来た。人猿の周囲を取り巻いて彼らは一斉に廻り出した。ちょうど凱歌でも奏するように廻りながら叫び声を上げるのであった。
土人乙女はどこにいるかと私は背後を振り返った。すると乙女は今までの恐怖が一度になくなったためでもあろうが、両手をダラリと脇へ垂れて人猿の姿を見守っていたが、振り返った私の顔を見ると南洋土人の熱情を現わし、いきなり私へ飛びついて逞しい腕で私を抱えて私の胸へ顔を押し当て全身を顫わせて絞めつけた。感謝の抱擁には相違ないが余りに強い腕の力で無二無三に絞め付けられ思わず悲鳴を上げようとした。乙女はそれに気がついたと見えて腕の力を弛めたがその代り今度は私の体を隙間なく唇で吸うのであった。乙女のやるままに体を委かせて私はじっと立っていたが夢中で接吻する乙女の顔へ思わず瞳を走らせた。どうして蛮女の顔だなどと軽蔑することが出来ようぞ! 何んという調った輪廓であろう! 土人特有の厚い唇もこの乙女だけには恵まれていない。