Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme

Aozora Bunko

朝のお茶の時に食堂で良人の顔を見ましたところ、大変蒼いじゃございませんか。どこかお体でもお悪くて? 私が訊きますと首を振って、いいやと一言云ったきり、黙ってお茶をのむのでした。そこへ新聞が来ましたので何気なく取り上げて見ましたところ、思いあたる記事がございました。燐光を放す巨大な獣が、昨夜市中にあらわれて、府庁官邸の宅地まで来ると消えてしまったという記事です。私はハッと思いました。それでは昨夜窓に映った銀色をしたあの光は、さては怪獣の光だったのかと……。

『あなたは昨夜変な光を窓からごらんになりませんでして?』私は良人に訊いてみました。すると良人はひどく顫えて蒼白になったじゃありませんか! けれど変化したその表情は、すぐに良人の強い意志で抑えられてしまったのでございますね。良人は冷静にこう云ったものです。

『いいや、そんな光は見なかったよ』

それで私は新聞の記事を良人の方へ向けまして、

『昨夜二時頃この町へ怪獣が出たそうでございますね』

『ふうむ、怪獣? どんな怪獣?』良人は益※(二の字点、1-2-22)冷静に、『町の人達の錯覚だろう。燐光を放す獣なんかこの世にある筈はないからな』